小樽のアトリエで制作したさまざまな形のHypertufa作品

Hypertufa / Garden Line

Hypertufaとは

石のようで、石ではない。
庭に置かれ、雨を受け、植物とともに表情を変えていく器。

For those meeting it for the first time

庭とともに、
育っていく器です。

Hypertufa(ハイパートゥファ)は、天然の多孔質な石「tufa」の風合いをもとに生まれた、セメントと植物性素材などから作る造形物です。はじめは石に似た器でも、屋外で雨や陽を受け、植物を育てる時間のなかで、その場所だけの色と表情を重ねていきます。

01 / Origin

自然がつくった石から、
庭師がつくる器へ。

Tufa(トゥファ)は、石灰分を含む水の働きによって形づくられる、細かな孔の多い石灰質の石です。水や空気を含みやすい独特の質感をもち、植物となじむ素材として、ヨーロッパの庭で親しまれてきました。

古い石の飼料槽や水槽は、やがて高山植物を育てる「トラフガーデン」の器として使われるようになります。しかし天然のtufaや古い石槽は、希少で重く、高価なものでした。そこで庭師たちは、セメントに軽量な素材を組み合わせ、石の風合いを再現する方法を考えます。それがHypertufaです。

一般にはセメント、ピートモス、パーライトや軽石などを組み合わせます。決まった一つの配合があるのではなく、作り手が求める質感や用途、土地の環境によって材料と造形が変わります。

煉瓦を敷き植物を育てながらつくり続けている幸愛硝子のアトリエの庭

02 / Ten years of making a place

2016年から、
アトリエをつくり続けています。

2016

現在の場所へ移転

工房とギャラリーの内装を整え、その外側にある庭へ。土に触れ、道をつくり、煉瓦を積み、木や草花を植える。本格的なアトリエづくりが始まりました。

2026

10年を経ても、まだ途上

季節ごとに手を入れ、植物の成長を見ながらつくり変える。完成を急ぐのではなく、暮らしと時間に合わせて育ててきました。Hypertufaは、この10年の延長に生まれたものです。

Before the beginning

売るものより、
つくる場所を
考えていた。

幸愛硝子を始める前、私たちはどんなビジネスをするかを、ほとんど話していませんでした。考えていたのは、居住空間としてどんなアトリエをつくるのかということでした。

自分たちが食べるものの幾ばくかを育てること。緑や木々、動物に囲まれて暮らすこと。住む人と季節の積み重ねによって、家や庭が深みを増していくこと。その場所で手を動かし、生まれたものを誰かへ届けること。

その原点は、硝子をつくる今も、庭の器をつくる今も変わりません。

時間を重ね苔が育ったアトリエの煉瓦とモルタル

03 / A natural encounter

煉瓦と、果樹と、庭。
すべてがつながった。

庭づくりで煉瓦を扱ううちに、モルタルは身近な素材になりました。一方、カシスやブルーベリーを育てるなかで、土づくりに使うピートモスも、いつもそばにありました。

そして探していたのは、アトリエの景色になじみ、煉瓦や植物のように時間とともに味わいを増していく器でした。モルタルを扱ってきた手と、庭で使い続けてきた素材。その二つがHypertufaで結ばれ、まずは自分たちのアトリエで使う鉢をつくることへ、ごく自然につながっていきました。

技術と、庭に対する考え方が噛み合った、私たちにとって理想的で運命的な出会いでした。

  • 煉瓦仕事で培った技術
  • 果樹栽培で身近だった素材
  • 育っていく庭への思想
一つずつ異なる形と表面を持つ幸愛硝子のHypertufa作品

04 / Made from this atelier

この場所の時間を、
素材のなかへ。

幸愛硝子のHypertufaには、一般的な素材に加えて、砕いた煉瓦や、アトリエに落ちたトウヒの葉も混ぜ込んでいます。装飾のためだけではなく、この場所で積み重ねてきた庭仕事と季節を、器そのものに残すためです。

素材の粒や繊維、手で加えた圧力によって、縁の揺らぎも、肌の凹凸も変わります。同じものを整然と複製するのではなく、それぞれの植物、それぞれの場所に出会う一つの器として造形しています。

  • セメント
  • ピートモス
  • 軽量骨材
  • 煉瓦クラッシュ
  • アトリエのトウヒの葉
  • 水と、手の仕事
小さな森に囲まれた幸愛硝子のアトリエと庭に置かれた器

05 / Shaped by hand

小さな森のなかで、
一つずつ。

幸愛硝子のHypertufaは、アトリエを囲む木々のなかで、一つずつ手作業で造形しています。材料を合わせ、形をつくり、表面を整え、十分な時間をかけて養生する。乾いたら終わりではなく、植物を受けとめる器へ整えていきます。

手仕事から生まれる形や色には個体差があります。それは欠点ではなく、一点ものの硝子作品と同じように、手でつくったものが持つ固有の表情です。

06 / Growing with the garden

庭に置いてから、
もう一度つくり始める。

Hypertufaの表情は、手元に届いた時点で完成するのではありません。置く場所の日当たり、雨の当たり方、周囲の植物や湿度によって、色や肌合いが少しずつ変わります。

01

雨を受ける

濡れると色が深まり、乾くとまた明るくなる。天候によって異なる表情を見せます。

02

陽を受ける

日の当たり方や方角によって、乾き方や色の変化に違いが生まれます。

03

庭になじむ

環境によっては苔が育ち、植物や土とつながった、その庭だけの器になっていきます。

※表情の変化や苔の育ち方は、設置環境や気候によって異なります。

From Glass to Garden

ガラスと光の、
小さな惑星。

幸愛硝子の中心にあるのは、これからも硝子です。炉の熱と光から生まれる硝子作品は、長い時間と技術を必要とし、どうしても高価になります。

Hypertufaは硝子の代わりではなく、同じ世界から庭へ伸びた、もう一つの入口です。硝子が手のなかに生まれる景色なら、Hypertufaは植物とともに育つ景色。より手に取っていただきやすく、一つ置いて植物を植えるだけで、その場所に小さな景色が始まります。

私たちのアトリエを訪れたときに感じるものを、それぞれの庭や窓辺でも育ててほしい。それが、幸愛硝子のHypertufaを届けたい理由です。

Garden Line / Otaru

アトリエづくりが、
器のかたちになった。

煉瓦を積み、木を植え、果樹を育ててきた10年の先に、Hypertufaはありました。新しく始めた別の仕事ではなく、私たちが求めてきた暮らしと庭が、そのまま器になったものです。ここからまた、植物と使う人の時間によって、新しい景色へ育っていきます。